マーケティング講座(13)業界リーダーの戦略

こんにちは。岡村憲之です。今日は、マーケティング講座(13)として、
業界リーダーの戦略についてお話します。

マーケティング戦略は、自社の市場におけるポジションによって大きく
異なります。業界リーダーとは、市場で最大のシェアを持つ企業ですから、
通常、市場で最も高い利益を確保しています。それゆえ、市場が拡大すれば、
最も大きな利益を獲得することができます。

したがって、業界リーダーの最重要な戦略目標は、市場のさらなる拡大
です。少なくとも、市場規模を維持しなければなりません。市場が縮小
した場合に、最も打撃を受けるのも、業界リーダーだからです。

市場を拡大するためには、業界リーダーが他社に先駆けて、新製品を
開発して、定期的に市場に投入することが必要です。これが業界リーダー
としての、マーケティング戦略の王道です。

業界リーダーが低価格戦略を仕掛けてもよいのは、低価格戦略によって
市場規模を拡大できる場合に限ります。低価格戦略によって、市場が
拡大しなければ、業界リーダーは、大幅に利益が低減します。

また、業界リーダーは、追撃する競合企業と戦うために、競合企業の
変化に対しては、どのようなことにも、即座に対応することが大切です。
これをマーケティングでは、同質化戦略といいます。

業界リーダーのマーケティング戦略をひとことで言えば、横綱相撲を
取りなさいということでしょうか。

紳士服ONLYのCI戦略

こんにちは。岡村憲之です。今日は京都に本社のある紳士服チェーンONLYの
CI戦略についてお話します。

株式会社オンリーは、これまで販売店舗においては、主力の「ザ・スーパースーツ
ストア」、インヘイル・エクスヘイルブランドのアウトレット販売等を行う
「スーツアンドスーツ」、オーダースーツを主力とする「インヘイル+エクスヘイル」
レディススーツ専門店「シーラブズスーツ」の4つの店名で店舗展開をしていました。

新たなCI戦略では、これらの4店舗の店名を、すべて社名と同じ「ONLY」に
統一すると発表しています。この企業の最新決算(2012年8月)の売上高は約70
億円、店舗数は、まだ69店舗ですから、店名を分散させるのは得策ではありません。

「ザ・スーパースーツストア」は、それなりに知名度がありますが、一般的な名称
なので、類似企業と混同される恐れがあり、差別化をするだけのインパクトに欠けて
いました。

そうはいっても、ある程度、マーケットで知名度のある店名を、社名と同じとはいえ、
違う店名に切り替えるのですから、相当な覚悟が必要だったと思います。

原則として品揃え等は変更せずに、3年程度をかけて、緩やかに看板や内装などを
切り替えていくということです。

CI戦略は、マーケティング戦略において、極めて重要な要素であるため、この度の
ONLYの戦略は、適切な戦略であると評価できます。

日本ハム糸井、突然のトレードの疑問

こんにちは。岡村憲之です。今日は、日本ハム糸井の突然のトレードについて
お話します。

日本ハムの糸井が、オリックスと2対3の交換比率で、突然トレードされました。
糸井といえば、2004年に投手として日本ハム入りした後、2006年に野手に
転向してから頭角を現した選手です。

2009年からは、4年連続で打率3割を達成し、ゴールデングラブ賞を獲得して
います。さらに、WBCでも中心選手として活躍する主軸の選手です。日本ハム
では、トップクラスの人気選手でもあります。

トレードの理由は、中長期で戦力バランスを取るためと公表していますが、実際は
それだけではないようです。糸井は、昨年12月、主力選手でただ一人、契約更改
をしておらず、2回目からは代理人交渉に切り替えています。そして、今オフには、
ポスティングシステムを利用した大リーグ移籍の意向を示していたとのことです。

ひとことで言えば、球団にとって面倒な選手を放出したということでしょうか。
さらに、大型新人の大谷に外野手のポジションを無理やり用意するためだったと
いう理由もあるようです。

入札制度には、球団の同意が必要なため、移籍したばかりの糸井がポスティング
で大リーガーに移籍するのは難しくなりそうです。海外FA権を獲得する条件を
満たすには、2017年を待たなければならず、本当に気の毒です。

糸井は、「この世界では当たり前のことと捉えている」と、淡々と語っています。
実力のある人材を、従順ではないという理由で、切り捨てるような人事には反発を
感じます。

野球球団も企業ですから、このトレードも、日本ハムが実力、人気を高めるための
マーケティング戦略の一環として考えられます。中長期的な結果がどのようになる
かは分かりませんが、組織は人で構成されるのですから、人の心を大切にしない
企業からは、顧客が離れてしまうのではないかと思えてなりません。

コンビニエンスストアでカフェが全盛

こんにちは。岡村憲之です。今日はコンビニエンスストアのカフェについて
お話します。

低迷している外食産業の中で、唯一、好調な業態がカフェです。スターバックス、
ドトール、タリーズ、サンマルクカフェ、コメダなど、数多くのカフェチェーンが
激しい戦いを繰り広げています。

そこに目をつけて、最初に参入したのが、ハンバーガーチェーンです。マクドナルド
は、「マックカフェ バイ バリスタ」を展開しており、今年の末までには、100店舗
に増やすと発表しています。これは現在の2.5倍の店舗数となります。モスフード
サービスも、モスバーガーとは別に「モスカフェ」の出店を始めました。

そして、このマーケットに新たに参入したのが、コンビニエンスストアです。いち早く
参入したのは、サークルKサンクスであり、昨年の8月までに全6000店舗に導入
しました。ローソンも今年2月までに3000店に導入し、今年度はさらに1000店
に増やす予定です。

さらに、いよいよコンビニの王者セブンイレブンの本格参入が始まりました。新しい
ドリップ式のマシーンを開発して、今夏までに1万5000店に導入することが
決まっています。そして、驚くべき点は、その価格です。一杯100円に設定して、
同業他社よりも低価格で販売します。

カフェ業界は、マイケルポーターのファイブ・フォース分析にある新規参入業者の
驚異にさらされていることがわかります。参入障壁が低い業界では、少し好調と
見るや否や、異業種から続々と新規参入してくるのが常です。強みを明確にして、
差別化ができない企業は、淘汰されてしまうことでしょう。

マーケティング講座(12)ポジショニング

こんにちは。岡村憲之です。今日はマーケティング講座(12)として、
ポジショニングについてお話します。

マーケティングにおいて、顧客に対して、製品とその価値を明確に印象
づけることで、自社製品を競合企業よりも有利に位置づけるようにする
ことをポジショニングといいます。

ポジショニングの実際の手法としてよく採用されるのは、パーセプション・
マップという手法です。これは、顧客にとって重要と推測される製品価値を
軸として、自社製品と競合製品を二次元にプロットする方法です。

パーセプション・マップでは、競合製品よりも上位、下位にあるという
位置関係だけでなく、その距離感も重視して分析する必要があります。
たとえ上位にあっても、競合製品との距離が短ければ、顧客に対して
差別化が不十分であり、明確に区分してもらえないからです。

したがって、マーケティングにおいて、ポジショニングを成功させる鍵は、
顧客が重視する製品価値や購買決定要因に即していること、自社の
優位性に基づいていること、競合企業に対し明確な差別化がなされて
いること、顧客に対して明確な主張ができることなどです。

マーケティング講座(11)ターゲティング

こんにちは。岡村憲之です。今日はマーケティング講座(11)として、
ターゲティングについてお話します。

セグメンテーションは、市場を細分化して分析することです。その次の
ステップが、ターゲティングです。ターゲティングとは、どのセグメントを
対象にして、マーケティングを展開するのか決めることです。

ターゲティングの評価基準には、3つあります。まず、市場規模と
成長性、次に、収益性、そして、自社戦略との適合性です。これらの
基準により、自社にとって最も魅力的なターゲットを設定します。

市場規模が大きくても、競合が強力であれば、必ずしも自社にとって
魅力的とは限りません。あるいは、買い手が強いバイイングパワーを
持っている市場では、自社の収益力が弱まります。

また、価格競争が激しい市場に進出することによって、自社のブランド
価値が低下する可能性が高ければ、進出を見合わせるという判断が
必要な場合もあります。

ターゲッティングは、必ずしも1つのセグメントに絞る必要はありません。
特定のカテゴリーで支配的な地位を目指そうとすれば、複数のセグメント
をターゲットとして、それぞれのセグメントに対して、異なるマーケティング
を展開することが必要です。

雪の日に見る顧客サービスの徹底度

こんにちは。岡村憲之です。今日は、雪の日に見る顧客サービスの徹底度
についてお話します。

一昨日、首都圏でも大雪(?)が降りました。雪国では、何でもない程度の
雪でも、都心では道路は通行止めになり、電車は遅れるなど、大パニックに
なってしまいます。わずかに8cmの雪ですが、特に郊外店では、店の周辺も、
駐車場も雪でいっぱいになり、一面真っ白な風景となります。

雪が降り続いている間は、雪かきが思うようにできないのは、やむをえない
のですが、問題は雪がやんだ後の、翌日です。首都圏でも、翌日は大雪の日と
対照的な青空でした。

コンビニエンスストアなどは、広い駐車場を隅々まで除雪作業をしており、
さすがだと思いました。入口付近は、どこの店でも除雪をするのですが、
問題は、入口付近ではない道路の除雪です。

顧客のためを思うのならば、店の周辺の道路は、すべて除雪すべきだと思う
のですが、道路に関しては、知らん顔という店もあります。経営者は顧客志向
を標榜していても、全店に徹底できていなくて残念だなあと思います。

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マーケティング講座(10)セグメンテーション

こんにちは。岡村憲之です。今日はマーケティング講座(10)として、
セグメンテーションについてお話します。

モノが不足していた時代には、消費者を大衆と捉えて、全消費者を均一の
対象としてマーケティングを展開することが、効率を高めていました。

しかし、現在はもの余り時代であり、消費者のニーズも多様化しています。
それゆえ、企業は消費者を何らかの基準により、同質ニーズを持つグループ
に分けて、マーケティング展開していくことが必要となっています。

このように消費者をグループ分けすることをセグメンテーションといいます。
日本語にすると、市場細分化ということになります。

セグメンテーションを行うに当たっては、3つの条件を満たす必要があります。
1つ目は、測定が可能なことです。2つ目は、アクセスが可能なことです。
3つ目は、十分な需要規模があることです。

通常、セグメンテーションには、コトラーが提唱した4つの軸が使われます。
(1)地理的変数:地方、人口密度、気候など
(2)デモグラフィクス(人口動態変数):年齢、性別、家族構成、所得
    職業、学齢など
(3)サイコグラフィック変数(心理的変数):社会階層、ライフスタイル、
    性格など
(4)行動上の変数:使用機会、ベネフィット、使用頻度、ロイヤリティ、
    製品の使用形態など

この中で、デモグラフィックスの年齢を例にとっても、シングル、夫婦、子育て
家族などのライフステージ、20代、30代、40代などのエイジング、昭和
世代、平成世代、バブル世代などのジェネレーションなどの軸があります。

セグメンテーションは、企業が市場をどのように捉えるかということであり、
マーケティングの要であるということができます。

マーケティング講座(9)3C分析

こんにちは。岡村憲之です。今日はマーケティング講座(9)3C分析
についてお話します。

マーケティングにおけるミクロ分析のフレームワークとして、ファイブ・
フォース・モデルをご紹介しましたが、さらに詳細に分析するための
フレームワークが、3C分析です。

3C分析とは、Customer(顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)
の頭文字を取って作成した造語です。

実際にマーケティングを展開していくためには、顧客は誰なのか、どんな
競合がいるのか、自社はその中でどのように強みを発揮していくのかを
検討していきます。それにより、より詳細に市場分析ができて、戦う方向性
が見えてきます。

Customer(顧客)分析には、市場分析すなわち、市場規模や市場予測
なども含まれます。そして、市場予測をする上で、市場成長を促す要因を
ドライバーと呼んでいます。ドライバーが何かを見極めることが大切です。

Competitor(競合)分析では、市場におけるポジション、すなわち競合
各社の市場シェアとその推移を予測することが、マーケティングにおける
ミクロ分析の重要な要素となります。

Company(自社)分析では、Competitor(競合)と様々な要素を徹底比較
することで、自社の強み・弱みを明確にして、戦う方向性を明らかにして
いきます。

富士フィルムのマーケティング戦略に学ぶ

こんにちは。岡村憲之です。今日は、富士フィルムのマーケティング戦略の
成功例についてお話します。

富士フィルムは、社名の通り、写真フィルムの会社でした。その証拠に、すでに
写真が斜陽であった、2001年月期でも、写真フィルムの売上高は、全売上高の
約20%を占めていました。この年は、現在の古森会長が社長に就任した年です。

その年に、富士フィルムは、「第2の創業」を標榜して、新規事業に乗り出しました。
その結果、現在は写真フィルムの売上構成比は、わずか1%となっています。

これは、何を物語っているのでしょうか。企業は、マーケットがないと生き残って
いけないのです。いかに素晴らしい技術を持っていても、どんなにそのマーケット
でのシェアが高くても、市場そのものが消滅しては、何の価値もありません。

マーケティングは市場活動ですから、どの市場を狙うかというセグメンテーションと
ターゲッティングが最も重要です。創業時はもちろん、既存事業の見直しや、新規
事業の開発は、常に行う必要があるのです。

富士フィルムの素晴らしい点は、フィルムの技術を軸に、その技術を生かせる新たな
分野を着実に開拓して、利益源に育成してきたことです。同じようにフィルムを事業の
柱にしていた米イーストマン・コダックが昨年経営破たんしたのと対照的です。

人も企業も、過去の成功体験にとらわれる習性があります。まして、その市場で上位に
到達した成功企業は、その市場から離れるのが怖いのは当然です。市場は徐々に縮小
しても、突然ゼロになるわけではないので、つい最後までしがみついてしまうのです。

富士フィルムも、2010年3月期には、上場して以来、初の赤字決算を辞さずに、
海外の現像所の統廃合をすすめました。このように、経営トップの強い覚悟により、
衰退するマーケットを捨て、新しいマーケットに果敢にチャレンジしていくことが
重要です。