景気動向とマーケティングの関係

こんにちは。岡村憲之です。今日は、景気動向とマーケティングの関係に
ついてお話します。

本日12月28日に、東京証券取引所の大納会が行われました。日経平均
株価は、前日比72円20銭高の1万0395円18銭となり、連日で年初来
高値を更新しました。

今年の日経平均株価は、年間で23%上昇しており、これは2009年以来、
3年ぶりの上昇となります。さらに、大納会の日に年初来高値を付けたのは、
1999年以来、13年ぶりとなる、エポックメイキングな出来事です。

その大きな要因の1つが、円安であり、1ドル=86円台後半と、約2年
5カ月ぶりの安値を付けたことで、輸出株である自動車や電機などの主力
銘柄が高騰していることがあげられます。

しかし、実際には自動車や電機などの輸出銘柄となる企業の多くは、為替
予約を行っており、円安は今期の業績にはすぐに反映されず、来期以降に
恩恵を受けることになりそうです。

アベノミクスといわれる安倍首相が構想する経済政策が、その背景にあります。
デフレと円高からの脱却、名目3パーセント以上の経済成長の達成などが、
その中身であり、これを実現するための強気な経済政策案が語られています。

重要なことは、まだ政策が実施されたわけでもなく、また実際には輸出企業が
円安の恩恵を受けているわけでもないにもかかわらず、将来への「期待感」が
株価を押し上げて、景気を良くする方向に向かっているという点です。

このように、景気動向は事実だけでなく、世の中全体が、将来をプラス方向に
向かうと考えるか、マイナス方向に向かうと考えるかで、大きく左右される
のです。マーケティングにおいても、世の中の動向とか、気配がどちらを向いて
いるかを常に把握して、戦略を立てることが大切です。

これは長期的な戦略次元の話ですが、より身近で短期的なお話をもう1つして
おきましょう。ファーストフードのなか卯の前を通ったら、カツカレーを前面に
押し出すキャンペーンを実施しており、人気商品となっているようでした。

これは、おそらく安部首相が帝国ホテルのカツカレーを食したことが話題になって
いるトレンドに、即座に対応した企画だと推測します。これも、世の中の動きを
把握して、迅速に対応したマーケティングの成果だと思います。

マーケティング講座(5)バリュー・チェーン

こんにちは。岡村憲之です。今日は、マーケティング講座(5)として、
バリュー・チェーン、日本語では価値連鎖の概念についてお話します。

マーケティングは事業活動そのものですから、マーケティングを考える
上で、企業の主な活動の流れを押さえておく必要があります。その折に
役立つのは、マイケル・E・ポーターのバリュー・チェーン(Value Chain)、
日本語に訳すと価値連鎖という概念です。

バリュー・チェーンの概念については、マイケル・E・ポーターの著書
「競争優位の戦略」(1985年 ダイヤモンド社)に書かれています。

その中では、企業活動の流れは、5つの主活動と4つの支援活動を
組み合わせて行われると説明されています。そして、個々の活動から
生み出される価値と、それらの連結から生まれる価値と、両方を
活かして、競争優位を構築することが大切であるとされています。

5つの主活動とは、購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング
(狭義)、サービスです。4つの支援活動とは、調達活動、技術開発、
人事労務管理、全般管理です。

図2

マイケル・E・ポーターは、バリューチェーンにおけるマーケティングに
「狭義」と書いておりませんが、本来、「広義」のマーケティングは、
全要素を意味する言葉なので、私はここに書かれたマーケティングは、
「狭義」とすべきであると考えます。

いずれにしても、マーケティング活動を展開するためには、企業活動を
要素に分けて分析することが大切です。バリュー・チェーンは、その
ためのフレームワークの1つであると位置づけることができます。

東京証券取引所による企業価値向上大賞

こんにちは。岡村憲之です。今日は、東京証券取引所が新設した企業価値
向上大賞についてお話します。

東京証券取引所は、今年から企業価値を高めた会社を表彰する制度を
創設しました。そして、その第1回の企業価値向上大賞には、ユナイテッド
アローズを選出しました。

ユナイテッドアローズは、経営目標にROE20%以上を掲げて、実際に
2012年3月期にはROE29%を達成しました。この点が大きく評価
されたようです。

ユナイテッドアローズは、経営理念、社是、社会との約束、人材開発理念、
商品開発理念など、理念体系がしっかりとした企業です。特に社是である
「店はお客様のためにある It’s All About The Customer」は、実際に
店頭にいる販売員一人ひとりの行動に反映され、徹底されていることに
定評があります。

ROE向上に関しても、部門単位、店舗単位で、経営効率向上に向けた
具体的な取り組みが行われたということです。

ちなみに、大賞に続く優秀賞には、三菱商事、丸紅、HOYA、エーザイの
4社が選ばれています。

経営理念すなわちマーケティング・ミッションのしっかりした企業は、
マネジメントすなわち経営数値においても優秀な成績を収めるという
ことが、証明されたのではないかと思います。

O2Oを活用したマーケティングが拡大

こんにちは。岡村憲之です。今日は、O2O(オー・トゥー・オー)を活用した
マーケティング手法についてお話します。

O2O(オー・トゥー・オー)とは、オンライン・トゥー・オフラインの略です。
消費者がネット上で入手した商品価格や評価、キャンペーン情報などに
基づいて、リアル店舗で商品を購入する消費行動のことを意味します。

また、企業がネット上で仕掛けて、リアル店舗での購入につなげる販促手法の
ことも、O2Oと呼ばれています。具体的には、メールを活用したクーポン配信や、
交流サイト(SNS)を活用して、消費者の来店を促す活動などです。スマート
フォンの普及により、効果が高まっています。

O2Oを活用したマーケティングの拡大が予測されており、野村総合研究所に
よると、O2Oの市場規模は、2017年度に50.9兆円になると試算されて
います。

ピュアプレーヤーと呼ばれるオンライン専業企業の攻勢が顕著ですが、O2O
により、 ネットとリアル店舗を組み合わせた、いわゆるクリック&モルタルの
逆襲が始まり、より激しい戦いになることが予測されます。

ユニプレス成功の秘密はチェーンストア理論

こんにちは。岡村憲之です。今日は、工場経営にもチェーンストア理論が
役立つという話をします。

チェーンストア理論で最も重要な要素は、「標準化」です。本当のチェーン
ストアシステムとは、年間に100店舗くらいの出店が可能な仕組みのことを
意味します。

なぜそれほどの大量出店が可能なのかというと、店舗が標準化されている
からです。例えば、チェーンストアの成功例として有名なウォルグリーンでは、
工場で規格化された部材を使って、現場では、すべてほぼ同じ形の店舗を
スピーディーに組み立てていきます。

いま株式市場で、ROEが高く、高値銘柄として注目を集めている企業に、
ユニプレスがあります。車体骨格などを製造する自動車部品の企業です。
この企業の成功要因は、まさにチェーンストアと共通しているのです。

ユニプレスは、中国、インド、メキシコなど、複数の国へ出店していますが、
製造ラインのレイアウトや仕様が、標準化されているのです。ユニプレス
では、ユニプレス生産システム(UPS)と呼んでいます。

福岡県みやこ町の生産拠点でシステムを完成させて、これを海外の工場に
応用しているのです。工場を標準化することは、QC(品質管理)の面でも
効果を発揮しています。

流通業でも、製造業でも、根底にある成功法則には共通するものがあります。
企業は自分の属する業界のみにとらわれることなく、視野を広げて、全業界
から成功法則を学んで、ベンチマーキングすることが大切です。

マーケティング講座(4)マーケティング組織

こんにちは。岡村憲之です。今日は、マーケティング講座(4)として、
マーケティング展開するための組織についてお話したいと思います。

マーケティングは、企業全体に関わるものであり、事業活動そのものです。
いくら観念としてマーケティングの重要性を認識していたとしても、実際の
マーケティング活動は、組織を通じて人が行うのですから、組織がしっかり
作られていなければ、正しいマーケティング活動を行うことができません。

例えば、営業部門の中に、営業企画や営業推進などとして、マーケティング
機能を担当させるような組織を見かけることがありますが、このような組織
では、結局、マーケティングは営業のアシスタントに位置づけられてしまう
ので、本来のマーケティング活動を行うことは不可能です。

マーケティングを担当する部署は、独立した専門部署として、企業全体の
活動を統括するような位置づけを明確にすることが重要です。そして、
その部署の中で、顧客別、地域別、チャネル別、製品カテゴリー別、
ブランド別などの中から、自社の特性に合ったチームを作ります。

さらに重要なことは、例えば顧客別にチーム制としたならば、顧客ごとに
使える予算をマーケティングを担当する部署がすべて集中管理できる
ような権限を与えることです。

マーケティング担当の部署が、ヒト、モノ、カネを全社的に統括することが
できて、はじめてマーケティング活動が全社的に関わるものとなり、マーケ
ティング志向の企業となることができるのです。

マーケティング講座(3)ミッション

こんにちは。岡村憲之です。今日は、マーケティング講座(3)として、
マーケティング・ミッションについてお話します。

マーケティング・ミッションは、もちろん売上目標のことを意味するわけでは
ありません。企業にとって、売上を高めることは重要ですが、マーケティングは、
より広範な概念だからです。

マーケティングは、事業活動そのものです。したがって、マーケティング・
ミッションは、企業ミッションそのものであるということができます。つまり、
経営理念がマーケティングの究極のミッションになることは確かです。

ただし、実際にマーケティングを展開するためには、より具体的なミッションを
策定しなければなりません。具体的とは、期限を定めることと、定性だけでなく
定量的なミッションすなわち数値目標を設定するという意味です。

例えば、経営理念が「顧客の生活を向上させる製品を提供する」であったとすれば、
これがマーケティングの究極のミッションとなります。それを具体的にするには、
「今年度中に主要製品のシェアを10%以上伸ばす」などというミッションに
ブレイクダウンさせることが必要だということです。

このように、マーケティング・ミッションは、究極的には経営理念そのものなの
ですが、マーケティング戦略を立案して、マーケティング活動を展開するためには、
より具体的なミッションに落とし込むことも必要なのです。具体的なミッションも、
方向性は経営理念に向かっていること、そこにつながっていることが大切です。

マーケティング講座(2)マーケティングの歴史

こんにちは。岡村憲之です。今日は、マーケティング講座(2)として、
マーケティングの歴史についてお話します。

マーケティングの概念は、20世紀初頭にアメリカで誕生しました。
時代の要請を受けて、ミシガン大学などで、マーケティング論という名称の
授業が開催され始めたのです。

この時代、すなわち19世紀後半には、連続工程が可能な機械が発達して、
石鹸や缶詰などの低価格パッケージ製品ができるようになりました。
また、製造と同時に列車や船などの輸送手段も発達したので、大量生産した
製品が全米に届けられるようになりました。

それゆえ、P&Gなどのアメリカを代表するメーカーが、出版物に広告掲載
するなどのマーケティング展開を始め、同時に、製品にメーカーの商標を
付けるようになり、ブランド戦略も始まりました。

そして、ミシン、農業機械、事務機なども大量生産されるようになり、
セールスマンが組織化されるようになりました。T型フォードの大量生産に
より、自動車が大衆化し始めたのもこの頃です。

この時代は、供給量が増えたので、必然的に、製品をいかに捌くかという
観点からのマーケティングが発展していきました。顧客を均一に捉える、
いわゆるマスマーケティングの時代です。

20世紀後半になってから、消費者の価値観が多様化されるようになり、
マスマーケティングから、セグメンテーションマーケティングへの移行が
始まったのです。

マーケティング講座(1)マーケティングの基本

こんにちは。岡村憲之です。今日から機会を見て、マーケティング講座として、
マーケティングに関する知識を体系的にお話していこうと思います。

今日は、マーケティング講座(1)マーケティングの基本についてお話します。
マーケティングという言葉は、非常に広い概念を表す言葉ですので、様々な
捉え方をしている人がいます。

例えば、私の経営しているアクティブ・コンサルティングは、コンサルティング
会社なのですが、マーケティングの依頼と称して、調査を依頼してくるメーカー
があります。担当者は、調査がマーケティングだと思い込んでいるようです。

あるいは、営業部には、マーケティングというのは、製品を大量に販売する手段
として考えている人がいます。製品を大量に販売することだけがマーケティング
ではありません。作った製品をどう売るかは、セリング活動です。

それでは、マーケティングとは何でしょうか。マーケティングとは、日本語に
直訳すると、市場活動です。市場すなわち顧客の視点から企業活動のすべてを
組み立てることです。

マーケティングとは、企業が顧客の価値を創造することであり、売り手と買い手の
間にある問題を、買い手の立場に立って解決することであると言うことができます。
そして、マーケティングは、売り手と買い手の間に、継続的に良好な関係を築いて
いくことです。

マーケティングは、企業のすべてに関わるものであり、企業の事業活動そのもの
であると考えて下さい。

はとバスに見るマーケティングの成功例

こんにちは。岡村憲之です。今日は、最近人気が高いと評判になっている
はとバスの話をします。

以前から、東京の観光バスである、はとバスに年配のガイドさんが乗車して、
大変人気があるという噂を聞いていたのですが、たまたまテレビの特集を見て、
その理由がわかりました。

はとバスでは、20代の頃、バスガイドをしていて、その後、寿退社などで
引退した人を、再び呼び戻して、バスガイドとして再雇用しているというのです。
再び呼び戻すといっても、数年のブランクではありません。

なんと、30年から50年ぶりに呼び戻しているのです。最年長は、年齢が
78歳というバスガイドがいます。はとバスでは、この人たちを。OGバス
ガイドと呼んでいます。彼女たちが若い頃は、超人気職種だったそうです。

このOGバスガイドと、入社して1年から2年で経験の浅い20代前半の若い
バスガイドが、ペアを組んで、はとバスに乗車して、観光案内をします。
つまり、1台のはとバスに、バスガイドが2人乗車するのです。

乗客も50代から70代の人ばかりです。この年齢の人を対象に、二重橋など
昔からある観光地はOGバスガイドが案内をして、六本木のミッドタウンなど
新名所は、若いバスガイドが案内をするのです。

さらに、移動中は、観光案内に加えて、OGバスガイドが昭和の名曲を歌う
というサービスがあります。もちろん、乗客も知っている曲ばかりなので、
すぐに一緒に歌い出します。

夫婦で参加して、修学旅行の頃を思い出したとか、親子で参加して、親孝行が
できて、とても嬉しかったなど、はとバスに乗車した参加者の感想を聞くと、
とても満足度が高いことがわかります。

ただ単に、昔を懐かしむだけでは物足りないので、OGバスガイドだけではなく、
新名所を案内する若いバスガイドがペアを組んでいる点が人気の秘訣なのです。

マーケティングでは、顧客をセグメントして、ターゲットを決めるのですが、いざ
ターゲットに合わせた製品開発やサービス提供の段階になると、なかなか上手く
いかない事例が多いのが実態です。

はとバスは、ターゲットのニーズを完全に汲み取って、顧客と同年代のバス
ガイドを再雇用するという思い切った方法によって、最適なサービスを提供する
ことに成功したのです。